猫を飼い始めると、「餌」については本当に悩みます。
本ブログでも餌の変遷について記事にしましたが、
www.jade-seimei.com
少々疑問に思う事が有りましたので調べてみました。
プレミアムと言われるキャットフードはどれを見てもグレインフリーであり、また、必ずグレインフリーが勧められています。
今更だけど…
グレインフリーって何?
グレイン【英:grain】を辞書で引くと、「穀物」となっています。
グレインフリーは日本語で穀物不使用のこと!
穀物?
穀物は農作物のうち、種子を食用とするために栽培されるもので、米・小麦・大麦・ライ麦・燕麦・あわ・ひえ・豆・きび・とうもろこし・モロコシなどがある。
(大辞林 第三版の解説)
チョットまて!!
豆???
豆の入っているグレインフリーのキャットフード
結構あると思うけど…
ペットフードのグレインフリーは、「もともと犬は肉食であり、穀物を消化する機能に長けていないことから、ペットフードへの穀物使用をしない」という考えから作られたと考えられる。 狭義の穀物ではイネ科の植物のみを示し、豆を穀物に入れて呼ぶときは「菽穀(しゅくこく)」と呼び、その他の種子を穀物に入れるときは「擬穀(ぎこく)」と呼ぶ。 (アーガイルディッシュホームページより抜粋)
ところで、穀物の主な栄養成分は炭水化物。
サツマイモやジャガイモ等のイモ類や豆類も炭水化物を多く含むけど、
グレインフリーなら問題無いのだろうか?
栄養成分で考えると皆同じだと思うけど違うのかな?
穀類、豆類、いも類などに含まれている炭水化物(糖質)の主体はでんぷんで、消化酵素により分解されてブドウ糖となるはず。
なぜグレインフリーがもてはやされるのか?
猫は純粋に肉食獣!
本来穀物はほとんど食べませんので、穀物の消化は苦手であると言われています。
その為、グレインフリーで穀物不使用フードの方が消化に良く、猫本来の食性に近い栄養バランスになっていて、猫の体に良い効果があると言われているのです。
肉類などタンパク質をメインとし、穀物を含まないため消化に良く、
アレルギーが起きにくい?というメリットが報告されています。
「穀類はアレルギー発症の危険性も高い」と書かれていることが多いのですが、実際は、猫の食物アレルギーの主な原因は食物に含まれるたんぱく質と言われており、特にキャットフードに使われることの多い牛肉、魚肉、鶏肉、ラム肉などの肉類からの発症です。穀物のなかでも小麦や大麦、とうもろこしはアレルゲンになる可能性がありますが、肉類よりは発症例が少なく、特に米はアレルゲンになりにくいと言われており、アレルギーの療法食でもよく使われています。
炭水化物は必要ないの?
人間にとって炭水化物は欠かせないエネルギー源ですが、
猫にとってもたんぱく質、脂肪、炭水化物(=糖質)が必要な栄養素であることに変わりありません。
しかし、猫はたんぱく質からグルコースを作ることができるのです。(糖新生)
炭水化物を摂取しなくても生きていける動物と言うことですね。
問題なのは...
猫のドライフードには炭水化物が40-50%も含まれているものが有り、この量の多さが最近になって健康上の問題として注目されています。40%以上の炭水化物は、消化機能の低下(下痢、嘔吐)や高血糖を引き起こすと報告(Meyer&Kienzle1991)されています。
最近、肥満等による猫の糖尿病が増加傾向にあり、炭水化物を多量に含むドライフードを食べ始めたからと言う説が有力視されています。
(猫のための最適な食餌/三鷹獣医科グループより抜粋して一部引用)
糖尿病とドライフードに関する文献報告を見つけました。
www.ncbi.nlm.nih.gov
古い文献では否定されていたのを聞いたことがありますが、真実は?
理論的には可能性は高いと思いますけど…(個人的な意見です)
チョットメタボな体形が気になり「炭水化物(糖質)抜きダイエット」なるものを実践してみました。
自己流で白米を一切食べなくしただけなのですが、
1ヶ月で-10kg
毎晩ビール(すみません、糖質0%の発泡酒です)は飲んでいましたし、おつまみもそこそこ。
炭水化物(糖質)恐るべし!
全く必要無い!~「適量」は必要!
と記載されている事が多いです。
この「適量」が曲者!
具体的に何%なのかが記載されている資料を見つける事は出来ませんでしたが、
35%以内であれば問題無いとの記載は多く見られました。
猫に必要な栄養素は何?
N.R.C(アメリカの国立調査研究審査会)によれば、猫に必要な栄養素は、粗タンパク質、脂肪、リノール酸、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、胴、マンガン、亜鉛、ヨード、セレン、ビタミンA、D、E、B1、B2、パントテン酸、ナイアシン、B6、葉酸、ビオチン、B12、コリンなどです。
どこにも炭水化物は記載されていないです。タウリンはどこに行った?
猫には糖新生の能力が有るため、糖質を補うための炭水化物の摂取は基本必要ないのですね。
ただし、他の栄養素では得られないビタミンやミネラルを補ったり、腸の働きを促して便秘を解消する(食物繊維)などの効果が有るようですので、適量の摂取は必要なのかもしれません。
人間と同じで、炭水化物の過剰摂取は問題あり!
お好み焼き定食をご存知ですか?関西では、お好み焼きがご飯のおかずになります。ご飯の上にお好み焼きを乗せて食べています。炭水化物 on 炭水化物ですね。私の大好物でしたが、東京出身の奥様にはいつも「信じられない!」と非難されていました。
あっ...「あん餅雑煮」も子供の頃は大好物でした。
グレインフリーの盲点
穀物は代表的な炭水化物ですから、これらを使用しないこと自体は素晴らしいことです。
しかし穀物以外の炭水化物であるイモ類やマメ類を多く使用していれば、
同じ炭水化物ですから、殆ど変わらないことになります。
グレインフリーは、炭水化物が含まれていないというイメージがありますが、
もし穀物以外の炭水化物が使用されていれば注意が必要です。
成分を確認する必要がありそうですね。
現在の所、他の炭水化物が含まれているグレインフリーフードが他のフードより優れているなどの研究結果はありません(Kara M.Burns 2017)。より自然な食事であるとか、猫の健康やアレルギーに良いなどの証明も一切ありません。
(グレインフリーの真実、タフツ大学の獣医栄養学専門医Dr Lisa Freeman、 Grain-Free Diets – Big on marketing, Small on truth)
猫にとって炭水化物(糖質)はさほど重要な栄養素ではありません。猫は長い進化の歴史の中で、主としてネズミなどのげっ歯類をえさとしてきましたが、そうしたげっ歯類の体内には、草や穀物や木の実などの炭水化物が含まれていることもあります。例えば猫の好物として名高いネズミの体組成を調べた調査によると、炭水化物が1.2%、タンパク質が55%、脂質が38.1%だったといいます。このようにわずかですが、猫の獲物の中には炭水化物が含まれているのです。(子猫の部屋:猫にとって炭水化物より抜粋して一部引用)
*ネズミの水分量は約65%、記載されている成分量は乾燥重量と思われます。
我が家の餌を調べてみた
餌の成分表に炭水化物量は記載されていませんが、他の成分からおよその量は計算できます。
100% -(粗たんぱく質% + 脂肪% + 粗灰分% + 水分%) = 炭水化物%
これまでに与えた餌と気になる餌を調べてみました。
*粗繊維は炭水化物に含まれると思いますので、別に記載しました。
*粗繊維も引いてしまうと可溶性無窒素物になり、ほぼ消化される糖質の量になります。
計算間違いはしていないと思うのですが、ロイヤルカナンキトゥンとモグニャンは炭水化物が多めですね。
オリジンは高たんぱく・超低炭水化物、特に低GI・低GLのキャットフードである事を強調しており、ジウイピークは低炭水化物に加えて猫の食性と生理に合わせた餌であることが記載されています。
餌の成分表の表現には、「以下」や「以上」と記載されてることが多いです。
オリジンとジウイピークはホームページに炭水化物%が記載されており、それぞれ「19%以下」「平均6%」になっていました。計算式も結構正確ですね。
面白い事に、
調べた範囲では、オリジン、ジウイピークの紹介にグレインフリーの表現は有りませんでした。
あっ... 穀物不使用の記載はありました。英語にすると同じ事ですね。
今食べているフードはロニーキャットフード!
petfoods.shop
あまり考えたくないけど、
飽きたらオリジンキャット&キトゥンかな。
我が家の晴明君、ジウイピークは余りお気に召さない様なので...
猫の餌の代表であるネズミに含まれる炭水化物の量は極々わずか。糖が必要な時には、たんぱく質から糖新生で得るだけで十分なのではないでしょうか
与える炭水化物は本当にわずかで良い気がします。
炭水化物含量35%までは問題ない旨の記載が有りましたが、「消化が出来るのではないか」と考えられる量で、体調への影響が全く無い量ではないように思います。
今後の研究結果が待たれます。
まとめ
集めた資料は記載した記事の何倍もあり、中々まとめる事が出来ませんでした。
出来るだけわかりやすく書くように心がけましたが、「難しいなあ」と言うのが感想です。
決してグレインフリーの表現を否定するわけではありませんが、フリーなのは米、麦、トウモロコシだけであり、同じ栄養成分である炭水化物で考えると、イモ類や豆類が増えている事も有るようです。コストを考えると仕方のない事かもし売れません。
炭水化物には糖質だけでなく、食物繊維も含まれており、少量は必要だと思います。
糖質が必要な時、猫は自ら糖新生の能力で必要量をタンパク質から補っています。その自ら補う能力を無視して、常に糖質を餌として与えるのには問題が有るように感じました。
過度に神経質になる必要は無いかと思いますが、愛猫に1日でも長生きして欲しいと願っている飼い主の方は、与えているフードについてチョット調べてみるのも良いかも知れません。
三鷹獣医科グループの小宮山典寛先生の書かれた記事があります。
本当に勉強になりますので、是非お読みください。
猫のための最適な食餌/三鷹獣医科グループ
ありがとうございました。
最後に
出来るだけ正確な内容を記載するように心がけていますが、専門家ではありませんので、勘違いや古い情報で間違った内容を含んでいるかもしれません。気になった個所は、是非ご自身でお調べくださいますようお願いいたします。