我が家に猫がいる : ロシアンブルーとの生活

猫との生活で気付いたことを綴るブログです

都市伝説! 猫は高いほど安全に落下する?

昨日、何気なく外を見たら…
「あっ! 猫がいる?」

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我が家の晴明君、ベランダの柵の隙間から外を眺めています。

ビックリして、即回収...

洗濯物を取り込んだ際に足元から脱走した模様。

まったく、油断も隙もありません。

落ちたら大変です。

本当に気を付けねば...
(写真は別猫です、慌てていて写真を撮る余裕なんてありませんでした)

ところで…

我が家はマンションの低層階(2階)

この位の高さなら、猫は落ちても大丈夫なのだろうか?


猫が落ちても大丈夫な高さ

猫が落ちても無事に着地できると言われている高さは、6~7メートル程。

建物で表すと、2階程度までの高さだと言われています。

どの記事を読んでも、この数値に違いはありません。

ところが…

nekochan.jp

猫は「中途半端な高さから落ちることが苦手」だと言われています。例えば、3階から落ちた猫と7階から落ちた猫では、どちらも深刻な結果になってしまう可能性があるのは事実なのですが、なんと7階から落ちた猫の方が死亡率は下がるんだとか!
ねこちゃんホンポ:猫ってどのくらいの高さなら落ちても平気なの?より抜粋して引用

amor1029.exblog.jp

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初めてこれらの記事を読んだときは、

へ~ すごいね!

本当かな?と思う前に、猫の能力に感心してしまいました。

あの本を読むまでは…

心理パラドクス-錯覚から論理を学ぶ101問

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人間心理が陥りやすいパラドクスに関して、多くの例題を示しながら解説されている本です。

その中に、
「016 墜落猫の死亡率」との項目があり、

高所からの落下についての記載が有りました。

あれ?

1984年の5ヶ月間に、ニューヨーク市の高層マンションからネコが落ちた事故のうち、何階から落ちたかという獣医師の記録があるのは129匹である(2階~32階)。うち、死亡は8匹だったが、驚くべきことに、階が高いほど生存率も高いという事実が判明した。7階以上から落ちたネコ22匹のうち死んだのは1匹だけ。9階以上から落ちた13匹はすべて生き延び、しかも骨折は1匹だけだった。
 なぜ高階層から落ちたネコのほうが生存率が高いのか? 獣医師の説明によると、ネコは、落ちると「終端速度」(それ以上速くならない最高落下速度)にすみやかに達する。それは時速60マイルで、人間の大人の終端速度の半分。この終端速度に達するまでは、ネコは脚を突っ張って抵抗するので、着地したとき怪我をしやすい。しかし終端速度に達した後は、ネコはリラックスし、脚をムササビのように広げるので、空気抵抗が高まり、着地時に衝撃が均等に分配されるのである。
心理パラドクス-錯覚から論理を学ぶ101問-:016墜落猫の死亡率より抜粋して引用

どこが間違っているのか? 

獣医師の記録は、あくまでも病院を訪れた猫の統計であるという事。

既に死亡してたり、ケガをしていても、経済的な理由で病院を訪れなかった猫は含まれていないという事です。

猫には公的な出生証明書もなければ、死亡届も必要ないのですからわざわざ報告しませんよね。

結局…

統計数字そのものに間違いはなかったのだが、後に、この統計は根本的な誤解にもとづくものであることがわかりました。つまり、高階層のネコのほうが下階層のネコより生き延びやすいという事実はなかったという事です。
心理パラドクス-錯覚から論理を学ぶ101問:016墜落猫の死亡率より抜粋して引用

本にはもう少し詳しい回答が記載されていますが、全てを書くとネタバレになってしまいますので、興味がありましたら是非購入してお読みください。

アマゾンで新書の購入が可能です。
心理パラドクス―錯覚から論理を学ぶ101問

チョット情報

「心理パラドクス-錯覚から論理を学ぶ101問」は大変面白い本なのですが、一つずつ理解しながら読まないと、全体が良く解からなくなります。「読むのが簡単!とは言えないかな」 読んだ私の感想です。

明確に「嘘だ!」と記載している記事も有りました。
gatosapt.blogspot.com

最近のクロアチアやギリシャの動物病院の統計では、逆に階数が高くなる程、特に7階以上になると猫の負傷率は高くなると報告されているそうです。

当然ですよね。

独り言…

それにしても、ニューヨークとは言え、5ヶ月間に129匹の落下事故とは…
報告されていない数を含めるともっと多いわけですから、ベランダへの出入りは自由なのでしょうか?高層マンションに住んだことが無いので、状況が良くわかりません。日本でも「落下が多い!」とよく耳にしますが、具体的な件数が記載されている資料は見つかりませんでした。

ネタ元の「サイエンス タイムズ」の記事とは?

「サイエンス タイムズ」の記事

「サイエンス タイムズ」はニューヨーク・タイムズの別冊で、記事が出たのが1989年8月22日だそうです。

多くのサイトに記載されていますが、本当にそんな記事が載ったのか気になり、元記事を探しました。

何とかたどり着いたのが…

www.nytimes.com

紙ベースの元記事を後から電子化したようですが、おそらく間違えていないと思います。

取り消されたのは1989年11月10日だそうですが、こちらの元記事は見つける事は出来ませんでした。

同じく「サイエンス タイムズ」に載ったようですが、訂正記事ですから小さな扱いであった事は予想できます。

おまけに

1989年11月10日…

この日付に覚えはありませんか?

ベルリンの壁崩壊

kotobank.jp

ベルリンの壁の上で、若者がつるはしで壁を壊していた映像が、今でも記憶に残っています。

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こんな世界的なニュースの裏で、一つの猫のニュースが訂正されても、おそらく誰も気が付きません。

別冊だから関係ないかもしれませんが、

ひょっとして狙ったのかも…

(写真はwikipedia:ベルリンの壁崩壊より引用)

猫の落下記録

www.narinari.com

高層マンションの19階から落下したのも関わらず、生存している記事です。
約45メートルから60メートルになるそうです。

人の落下記録

1000nichi.blog73.fc2.com

高層ビルが立ち並ぶマンハッタンでは、2007年12月にビルの窓ふき作業中に地上約150メートルの47階から転落した男性作業員が助かった例があるそうです。

着地点が地面の場合45メートル以上、水面の場合75メートル以上からの落下であれば、生還例がほとんどない為、確実に死に至るとされる。
Wikipedia:飛び降り より抜粋して引用

猫の高層階からの落下事故は何故多いのか?

フライングキャット症候群

nekopedia.jp

フライングキャット症候群(flying cat syndrome)、ハイライズ症候群(high-rise syndrome)、または猫高所落下症候群とも言われます。

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猫は運動能力が高く、少々の高さから落ちても問題無いと言われますが、フライングキャットシンドロームの猫は数十階あるいは数十メートル単位の高さから突然飛び降りることがあります。

そして症候群と名が付くように、一度飛び降りた猫はなにかに取り憑かれたように再度落下することがあるそうです。

原因は不明なようですが、過失で落ちるのではなく、自分で飛んでしまう様ですね。

まとめ

猫でも人でも、2階から転落するだけで大ケガをしたり、場合によっては死亡する事も有ります。逆に、かなりの高所から落下してもわずかなケガで無事な事も有ります。

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落下時の姿勢や落下地点の状況により奇跡のような現象が起きるのだと思いますが、2階だと言っても油断せず、十分気に掛けておく必要があると思います。

今回は冷や汗ものの出来事でした。

最後に

他の記事でも紹介しましたが、
www.jade-seimei.com

数字が記載されて意見が述べられている時は、必ず「本当かな?」と、疑ってみる必要が有りますね。数字は正しくても、解釈の仕方で書き手の都合のいい様に誘導されてしまいます。

それにしても、

30年も前のニューヨークでの誤報が、未だに遠く離れた日本で信じられている事に驚きです。(信じていたのは私だけ?)

初めて日本に紹介した方に悪意はなかったのでしょうが、興味深いトリビアは一気に拡散します。

ますます疑い深くなりますね。

「心理パラドクス」を読んでもう少し勉強しようかな。